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Air Jordan XX3 (23) Performance Review - SZOK



エアージョーダン シリーズ第23作目となる "Air Jordan XX3 (23)" をレビュー

このカラーリングは "Legacy Series" の一つであるNorth Carolinaカラーとなります

今作、市販されたカラーも少ないのですが、その分PE (Players Exclusive) の多さはシリーズでも屈指

やはり記念すべき23作目のモデル、多くの一流選手または著名人が履いておりました

印象に残った感想を幾つかと、10の項目で機能を考察し配点をしていきます
所有者の身体、足の形状や運動能力等により履き心地という点は個人差があるので、あくまでも参考程度でお願い致します

(配点項目と基準については ”テンプレートについて” を一読下さい)





今作のポイントは ”コンシダード”

つまり環境に優しい、自然に配慮したコンセプトで作られています

一時期ナイキでもありましたよね、コンシダードモデル

コンシダードとは、その名の通り ”Considered=考慮” という意味で、靴作りにおける ”工程” を再確認しようという考え

皮革素材の鞣し (なめし) の工程で出る廃水、接着剤も水溶性のみを用る等、製造工程で有毒な溶剤と廃棄物の量を減らす事で自然保護に取り組もうというプロダクトです

詳しくは ”Nike Considered (http://en.wikipedia.org/wiki/Nike_Considered)” 

要するにこういったコンシダードな考えの下、Air Jordan XX3はデザインされているわけです




アッパーは、特許出願中 (当時) の3Dステッチを使用し、外層を三枚の内層に貼り付け快適さを保つ一方で接着剤の必要性を減らしているとの事、エコですね

この刺繍は各カラー異なったデザインで、1stカラーで言えば本人のイニシャル「MJ」を散りばめてあったりとステッチにも意味がありましたが…XX3の資料が見つからず、手元にあった書籍も紛失して殆ど思い出せないという…

素材の剛性としては全体的に若干ヤワく、素材の厚みが少ない為軽量だが、アッパーが一枚のパネルとなっており足に這うようなフィッティングは望めない




アウトソールのラバーは他のフットウェアを製造する工程での使い残しの一部を再利用、ナイキグラウンドと呼ばれた物ですね

デザインとしては指紋状のパターンに、足の指をイメージしたIPSが配置

グリップとしては余り良くは無く…厳密に言うと「悪くなって来ている」と感じます

これはアウトソールの素材によるものかは分かりませんが、徐々に硬化し滑りやすくなっております

まあ発売してから6年は経っているわけなので他のシューズにも言える事ですね…




インナーブーティーは石油を原料とする合成繊維の使用を減らし、リサイクルしたポリエステルを一部に使用

このキルティング状のライニング、かなり黄変するんですよね

多分使用して汗が染みているのに野ざらしにしてた人はかなり黄ばんでいるかと…

足首周りにパディングがあり、フィット感は良いです

独特なシューレースパイプは締めづらい…




シャーシは「再生利用可能なプラスチックから作られている」との事ですがこれは少し謎

ヒールからトゥにまで伸びる硝子細工のような非常に綺麗なTPUパーツですが、個人的に

”屈曲部に別素材が干渉するシューズは地雷”

という考えを持っているのですが、全くもって予想通り履きにくいです

勿論、自分の足型と今まで色々と履いてきた経験上での判断ですし、外国人の方のレビューでは ”Confort/Fitting” の評価は良かったのですが、個人的には ”最悪” …

こういった屈曲部に別パーツがあったり、縫い合わせや貼り合わせのあるアッパーは本当に危険です、サイジングが途端に難しくなります

発売当時直営店に行き試着し「これは合わないな…」と思って買うのを諦めたのですが、結局手元にあるというのも情けない話で…やはり ”Air Jordan" の魅力って凄いです…




シュータントップの丸いロゴ、輪の中にジャンプマンと23番のマーク

これをジョーダンブランドのアイコンとして今後使っていく という話がありましたが、いつの間にか終わってましたね

この部分もカラーリングによっては真っ黄色、恐ろしい程黄ばみますよね…XX3あるあるかと

裏面には本人の指紋が。ちなみに本当の指紋だと悪用される恐れがあるので少し変えてあるそうです

踵の縫い合わせはこういった仕様で、恒例の「エアージョーダンだからこそ」なデザイン、他のシューズではなかなか許されないでしょうね




さて、今レビューの本題「クッション」

兎に角 ”硬い” …クッションは宜しいとは言えず、寧ろ ”悪い” と言えるでしょう

ただ仕様を見る限りクッション不足になるとは思えません

フルレングスズームエアにファイロンミッドソール、そしてIPSが搭載されており、文字を読むだけで非常に豪華なクッショニングシステムと想像しがちですが

本当にフルレングスズームエアとIPSの組み合わせなの? と疑問が浮かぶ程のクッショニングの薄さ…

とここで、こんな高価で高級なAJ XX3を解体してくれている素晴らしい方がいたので、それを参考にしますと…

シューズを真っ二つにし、ミッドソールの断面を見たところ「…IPSが無い」

いやもしかしたらあるのかもしれません、ただ ”Air Jordan XX” の断面にハッキリと見えたIPSが見当たらない


(IPSというのは ”Air Jordan XX (20)” を参照)




あくまでも本当かどうかは分かりません、ただ自分の「クッションは悪い」という感覚は、この解体画像の情報からも間違っていないのかもしれません

それらを踏まえた上でクッショニングの採点は低く見積もりました

今更AJ XX3を分解したり評価する方はいないでしょうが、真実はどうなのでしょうか…

またミッドソールはこの時点でシリーズで最も地面に近い、つまり最も薄いミッドソールを使って(ヒール厚19mm・フォアフット厚9mm)いる事もクッション不足の一因かもしれません

それと「IPSは有る」としたら ”Air Jordan XX (20)” や ”Air Jordan XX2 (22) Low” よりも配置面積をかなり絞ったのかもしれません

コンセプトはコンシダード、パフォーマンスという点でも出来る限り削れる箇所は削ったのか、果たして



- まとめ -

デザイン、ストーリー、テーマ等、外観の面ではこれ以上は無い程に ”究極” を表現した一足だと言えるでしょう

しかし ”履き心地” という靴としての本質的な部分においては ”履きにくい” と言えるでしょうし

バスケットボールという競技で履くつもりでしたら「やめるべき」でしょう

コンセプトとして強調してきたコンシダード、その高い技術と熱意、クラフトマンシップと言える創意工夫の意匠が靴としてのパフォーマンスには繋がらなかったかと

ビジュアルの面では発売から6年程経った今でも惚れ惚れする程の美しさ

ただ ”置いただけ” の立ち姿でも伝わってくる特別感、「至高」と呼べる程 ”第23作目” として有無を言わさないシルエットでした

”エアージョーダン” としては特別でしょう、しかし ”バスケットボールシューズ” としては低評価せざるを得ないです

ということで69点、良くて70点かと、見た目はもちろん100点です








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